美園のミソ

美園のミソになる話

推しと燃え尽きたい

特別お題「今だから話せること

 

私は大泉洋のファンだ。今でいう『推し』である。

田舎に住む自分にとって推しは遠い存在で、たとえ舞台などで生で見ていても、やはりそこには大きな距離がある。だから推しの近くへ行き推しと話せる機会なんてあるわけがないとずっと思っていた。

 

だが、その考えが覆される出来事がある日起きた。

 

それはある年のファンミーティングで。

推しの事務所のファンミーティングに参加した私は、ホテルの宴会場で何百人ものファンがいる中の1人として、ステージに立つ推しを見ていた。

やはり生で見る推しはカッコよくてトークも楽しくそれだけで十分至福のひとときを味わっていた。

 

ところが、終盤で行われた抽選会で事件は起きた。

 

タレント1人ずつ私物をファンにプレゼントするという企画があり、タレントごとにくじを引いてお客さんをよび、ステージでプレゼントを渡していたのだが、最後の方で推しの大泉洋の番になり、くじをひいて名前を読んだ時、奇跡は起きた。

 

 

「〇〇さーーん!!」

 

と、読んだ名前は私の名前だった。

 

 

その瞬間、私は鳥肌が立ち手と足が震えた。推しが私の名前を呼んだ、その事実が信じられずにいたものの足はステージに向かっていた。

ステージにのぼると、推しが私の方を見ながら笑顔でいる。あまりにも眩しすぎて眩暈がするほどだった。

そして私が大泉洋のファンだと告げると、嬉しそうにありがとうと私をハグした。さらっと書くと夢の話のようだがこれは現実だ。

その瞬間いい匂いがした、さすが芸能人だと思ったが今思えばスーツのクリーニングの匂いだったかもしれない。いや、やっぱり好きな人の匂いはいい匂いだ。

そんな推しに抱きしめられて私は頭が爆発してしまった。なのでその後の記憶はあまりない。とりあえずプレゼントをもらい、そしてその日はたまたま誕生日の前日だったのですごく嬉しいという話をした。すると推しは優しい笑顔で「おめでとう」と言ってくれた。この時の私はもう死んでもいいと思っていた。

 

とにかく幸せすぎて浮かれまくっていたが、この話を人にすると、あまりにも非現実的で虚言癖があると思われないかと思ってしまい、人に話すことはほぼ控えてきた。

 

だがもう10年以上前の話だし、もう話してもいいよねと思いこのブログに綴った。

 

人間生きているといいことがある、というのは本当だった。

 

なので今辛くて大変な人も、いつかいいことがあるので頑張ってほしい。

 

ちなみに、いただいたプレゼントはイベントで使ったジャケットだ。今も大切に持っている。

これは私がもし死んだら、棺桶に入れてもらおうと思っている。推しと一緒に最後を迎えられるなんて最高じゃないか。